アジア大会の日本代表を見ていて、改めて個々の強さ、巧さが大切であり、また現在の選手というよりもこれから背負っていく10代の選手達の育成により日本の選手層を厚くしていくための働きかけをしていくことが重要であると改めて強く感じる。
さて、話は変わって先日スペインの強豪バレンシアの下部組織の指導者が来日し、実技と講義があり、夜の講義に出席させて貰った。
講義内容は、二日間行ったトレーニングの意味など説明し、DVDを見ながら多少の説明もあった。
指導陣の顔ぶれが中々ラテンチックで面白い、物凄く親近感が湧く。
自分達は一番前に席を陣取り、その真横には椅子に座るコーチが二人いて一人が講義しているというもの。一番歳を取っているコーチはさっさとリラックスモードでサンダル履き。
「いるいるこんなオヤジ、ブラジルにも・・・」という雰囲気。よほど疲れたのか、落ち着かない。この男、最後まで座っているだけじゃないだろうな?と思っていたら、質問時間にメンタル面の話が出たら、いきなりたち始め自分の意見をべらべら喋り始めた。
話によるとコーチ陣の中で実技の中では一番声が大きく、元気であったらしい。
その話の中で、一番日本人に足りないものをしっかりと指摘していた。
練習メニューの説明などこの際は要らない。サッカー先進国から来た人間達からその国の文化、習慣、国民性、またサッカー先進国である中から指導、教育する空気を少しでも知ることができれば、自分にとっては大きな収穫になると思っていた。
サッカーの濃い情報、育成の情報があちらこちらからどんどん飛び交う国から来た人間達はきっと大切なことを言ってくれるに違いないと思っていたし、こちらから意図的に引き出せばそれに対しての意見がしっかりと返ってくるということも予想していた。
コミュニケーションの話をし始めたとき「日本の子供達は我々と挨拶を交わす時も少し距離があるように感じた。確かに恥ずかしいという気持ちもあるのでしょう、何か自信がないようにも思う」というニュアンスの話。あと、指導者が常に子供の話を受け入れられる態勢を常に持つこと、創造力のあるプレーをチャレンジする選手には何度もチャレンジするように助言をすること、楽しさを忘れさせないというもの、タレント性を崩さずにさらに伸ばしてあげること、メンタルが一番大切であることなど、先進国ならではのコメントが多く隠されていた。
メンタル面の強化として、現在インファンや特別スクールのメンバーに「プロになりたい」と思っている選手は全員ではないがほとんどだと思う。では、プロを目指す手段が海外しかなかったら一体どうやってプロを目指しただろうか?今でさえJリーグがあるけれど、一昔前は存在しなかった。Jリーグがあるからプロを目指したいと思ったのか、関係なく海外でプロになりたいと思うのかはいずれにせよ、この先何が一番大切なのか?と現実が見えてきたときに一番左右するのは、やはりメンタルになるのだよ。
プロ、特に海外の選手達は進路を決定する年齢が日本の子供達よりよっぽど早い。皆は通常、このままCOJBでやり、高校進学を考えて、高校卒業したら大学進学かプロ?などようやく進路を決めていくことであろう。では仮に、中学生一年の間に既に進路を決定している選手がいたら、コーチよりも1年進路を決断したのが早くなるな。
コーチの場合は14歳でプロへの進路を決断した。「絶対になる」と。
勿論コーチの時代なんてJリーグなんてない時代だし、もしあってもJより世界と思っただろうね。
お金があるないに関わらず、単に人生をサッカーに賭けるという決意を親に伝えて置きたかった。
では、どういう風に?という具体的なことになる。手段、選択肢はあまりなく、ブラジルでプロになることしか頭になかったんだ。きっかけはある衝撃的な本を読んでね。
まだ子供だからお金が家にあるかないか?なんて考えていないから、とにかく自分の決意を親に伝えて置きたかった。
どんな形でも、ブラジルへ行きプロへの意志を父親に嘆願したら「そんな金はねぇ」と一蹴された(笑)
「今行かなければ遅いんだよ!!」といったら「まず高校へ行け!!」と言われて反発して、生意気にも父親に張り倒されるくらい生意気な口を叩いた時代があったのを思い出す。「今行かなければ俺のサッカー人生は終わりだよ!!」くらいにね。思い出すけれど、それ以来さらに海外への想いが強くなった。
意識が未知の世界、プロへすっかり飛んでいた。それからはプロを目指すためには何が必要なのか?ということをプロのサッカーがない国、情報がない国で出来る限りの情報を集めたものだ。
これはね、コーチの自慢話ではなく、今「プロになりたい」と想っている選手達に現時点で人生を決断する勇気があるかい?と聞きそれでいて「プロ」と言っているのかとね。親元を離れて生活する。しかも何も見えない海外でさ。
親に反対されても自分の力でなんとか辿りついてやるという強い気持ちが持てるかい?
お母さんに対しての甘え、わがままなども捨てなくてはならないのだよ、海外で生活したら。
今しているサッカー以外の楽しいこともできなくなるのだよ。
人生をサッカーにつぎ込む決意は半端な勇気ではない。しかも10代前半でね。
高校を出て初めてプロ意識を持つのと、中学から精神的に意識していくのとでは大きな違いをもたらす。
それは海外に行ける、行けないの問題ではない。姿勢の問題さ。
皆が子供、子供していられる時間はあまりないよ。精神的には最も自立していかなくてはプロなんて有り得ない。日本代表の選手が目覚めている年齢ももはや限界。もっと早い段階で揉まれる世界に飛び込んで行きできるだけ長く競争の世界にいるということ。それは高校選手権などでポジション争いをするというような次元ではない。
でもね、早く人生を決断して生活していくと、周囲からは尊敬されたりするけれど、浮くぞ〜
いつの間にか孤独になっている時が多々ある。「彼女だなんだ」と言っている周囲の話についていけなくなってしまう(笑)高校も進路が終わると皆、ほとんどが車免許を取りに行く。でもそんなお金あるなら
ブラジル行きのチケットを買ったほうがいいとなる。みんな楽しそうだけど、一度決断した道、絶対に曲げられないし、好きな道を自ら選択したのも自分だからね。一時の楽しさは一瞬で過ぎる。
仲間が成人式をアリーナで迎えている時、コーチは選手権の真っ最中、ブラジルと戦ってた。
そんなもんだよ。高校時代の一般的な高校生らしい楽しみなんて全部サッカーにつぎ込んでしまったな。
人生をサッカーに捧げるということは簡単にはできないよ。親の多大なる理解がなくてはね。
ただその強い意志を貫く強さをCOJBの選手達にも持って貰いたいと願う。コーチは仮にサッカーができなくなってもどんなことしても生活していける自信はあるよ。それは貫き通してきたから。
自分の人生は自分で決断しなさい。またその決断を人に伝える勇気をもってみてよ。必ず道は開けていくから。そういった意味で、バレンシアのコーチ達もサンパウロのコーチ陣との共通点は大いにあり、学ぶことも多かったね。